●2001年10月5日

「悪い情報こそ明らかにすべし」

アメリカの同時多発テロ事件の影にすっかり霞んでいる事件が、今の日本には目白押しだ。憲法無視の自衛隊派遣論争はもちろん最も酷いニュースに違いないが、それ以外にも、最近の「狂牛病」騒ぎには遠目に見ている分にとってもかなり酷いことになっていると思う。

何故日本という国の官僚はこうも物事を隠したがるのだろうか。狂牛病が発生したことをまず隠した。そしてそれが焼却処分したと発表したあとに、実は肉骨粉になっていたと訂正した。問題の牛の飼料に牛の肉骨粉は使われていないと発表した。しかしよく分からないと訂正した。もう情報が無茶苦茶だ。

今、農林水産省も厚生労働省もやっきになって、「国産牛肉は安全です」キャンペーンをやっているが、国内の牛肉に対するパニックは大変なもののようだ。安全なはずの牛乳や牛肉も危険視され消費が落ちていると言う。学校給食から牛肉が外されたと言う。

今や両省は、食品メーカーや食品輸入業者に対してあの手この手で法規制や自粛要請を出してきた。そのひとつ一つを実行に移せば確かに、狂牛病の封じ込めは成功するだろう。しかし伝えられるニュースを見ると、その規制はおそろしく厳格な内容だ。これでは逆にパニックを引き起こすだけではないだろうか。

大丈夫と大丈夫でないことを、きちんと伝えることが大事なはずだ。
「大丈夫でない牛の部位はどこで、そこに対してはこういう対処を施しました。そして、大丈夫な部分はいつも通りに食卓に上げて構いません」と伝えることを疎かにして、とにかくこれだけ規制したから安心してくださいと言われても、消費者はピンとこない。

世界規模で牛製品が流通している現在、いずれ日本にも狂牛病が発生することは目に見えていたはずだ。慌てて取った今回の行動の百分の一でも予防策として取っていれば、そして、今回のようなことが起こることを見越して適正な対処方法を当初から採っていれば、今回のようなグチャグチャな情報の垂れ流しにはならなかったのではないだろうか。国の根幹がうろたえているのだから、消費者がうろたえて「牛肉はずし」に走っても仕方ないんじゃないだろうか。

しかし、毎度思うのは、何故この国の官僚は情報を隠すのか。国の情報は国民のものだ。
どうせ知れ渡るわけなのだから、どんな情報でも明らかにしりゃあいいのに、何故コソコソと慇懃無礼的に隠すのだ。悪い情報ほど、きっぱりとしっかりと国民に明らかにする、今まで経験した薬害事件などでこういう原則を学んだはずじゃなかったのか。それともそれらはみんな、余所の省庁の出来事で、対岸の火事に過ぎなかったというのか。呆れるばかりだ。

今回の狂牛病パニックがピークに達する頃、カイワレ事件の時のように、またなんぞの大臣が出てきて、きっとテレビの前でステーキと牛乳を口にするのだろう。茶番もいいところだ。